建築設計事務所の仕事 index

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住宅などの設計から竣工までに必要な作業 

2001/02/19
2001/02/22修正・追加
2001/05/30『契約書』に必要な『印紙税』の軽減措置の期間修正
2002/05/10建設リサイクル法について追加

設計時や施工時に建築主・設計,監理者・工事施工者に必要な提出物やスケジュールについて教えて欲しいとの質問が、SKさんよりあったのでわかる範囲で答えます。スケジュールについては、構造形式や規模によって様々ですので、時間軸をこのページに持ち込むことは不可能だと思われます。当然この内容は当事務所のやり方についてであって、あくまで参考ですので、ここに書いてある内容を他の事務所に求めることは意味がありません。

建築主 ( 発注者 )
設計者
設計の場合も現場監理や施工の場合もで出来不出来は、事務所や工事施工者の規模よりも担当者のデキによる場合が多いので、どういう人が担当するかを見極める必要があると思う。ある意味では建物が存在している年数はつきあうわけである。電化製品とは使用期間のオーダーが違うことをよーく認識しないと。 一級建築士登録 ( 更新はない、試験に受かって登録すると死ぬまで一級建築士 ) と一級建築士事務所登録 ( 5年に一回更新が必要 ) の写し・経歴書
  設計監理料の算定方法
  設計監理契約に必要な書類
  市役所などで敷地の用途地域や建ペイ率・容積率・防火地区などの規制を調べる
  敷地測量、地盤は周囲の建物から類推して設計し、現場着工時に正確な調査を行うことにしている。先にできるならばベスト ! 電柱の位置・下水の有無・水道などの引き込みの位置・隣家の窓の位置・道路の幅や敷地との関係などなど
要望 ( 文章にして提出する方が、漠然とした考えがまとまっていい。大抵は『あの雑誌にでていたあの窓が良いわぁ!』とか『あそこで見たあの色が好きだわぁ』っていうのが多いけど、日常や休日にどういう過ごし方をしている。またはこういう風に住みたい・・・っていう方がよほど役に立ちます ) 設計者は神様とは違うので、要望の全てをもりこめるわけではなく、建築主との共同作業として設計するということである。
設計者に話した言葉が、きちんと伝わっているかをチェックする。設計者との意識のズレに気を付ける ( 設計者にとっては当たり前でも、建て主は別のことを望んでいるかも知れない )
階段について
子供室について
議事録 ( 義務はないので提出しない事務所もある。打合せの度に前回の分を提出 )
設計図の内容を理解するように努力して、わからない用語や単語は聞き、材料についてはカタログやサンプルなどによって確認する。設備機器などは設計者と共に一緒にショールームなどに出向いてお互いの情報を共有することは大切である 図面作成 ( 図面の種類の説明 )
工期は建て替えの場合だと、賃貸住宅の契約期限などに影響する。また支払条件は、銀行や住宅金融公庫の融資条件と関連する。 図面完成後、工事施工者を数社選定する。工事金額の支払条件や工期の決定
工事施工者を選定するには、 『工事業者の経営状態について 』 を参考にし財団法人建設業情報管理センターなどの情報も調べてみる必要があるかも知れない 見積依頼のための現場説明 ( 図面を渡し、支払条件や工期の説明を行う )
  図面に対する質疑の受付と回答
数社を選定して見積もり作業をして貰うが、最低でも1週間はかかる。3万円×7日としても20万以上の金額をその数社はかけるわけである。10件見積依頼があっても、実際に仕事になるのは1件あるかないか・・・といわれているから、年間にするとかなりの経費を施工者は負担しているわけである。このことを建築主も頭の中に入れて、選にもれた数社には丁寧にお礼を伝えて欲しい。 入札または見積徴収
入札は最低価格で決定。
見積の場合は見積内容などを考慮して決定されるため、最低価格者が選定されるとは限らない。
予算を超過した場合の責任 金額によっては仕様の変更のため図面修正
工事金額を支払うのは建築主自身であることを念頭において工事施工者を決定すること。設計者は最大限の手助けをしますが、最終的な決定者は自分自身であると認識するのは大切なことです。そうすれば自ずと図面や内訳書もじっくり見る気になると思います。数百万円の車を買うときには、カタログの隅から隅まで見て、他社との差を比べるはずです。その何倍モノ価格の建築物を買うわけですからもっと図面や仕様書をよく読んでもいいと思うのですが ? 『私は素人だから・・・( わからない )』という言葉は人任せの度合いを如実に表現していると思います。僕だったら 『私は素人だから・・・( わかるように ) 教えてよ ! 』 というだろうと思います。 契約書 ( 建築主と工事施工者の契約 ) のチェック。契約書には図面を添付し、図面枚数○○枚と記入すること。金額だけでの契約では仕様などの証拠が残らないことになる。
2001/05/30修正
ハンコは実印である必要はない。
確認申請書の一面は自署の場合ハンコが必要なくなった。ま、今時は普通印刷だから自署ってことは殆ど無いが、ハンコが必要ない場合があるって画期的だな。

書類のうち確認通知書を表紙として確認申請書の副本が戻ってくるが、工事完成後の完了検査時に発行される検査済証と共に、建物が存在する限り保管すること。増改築や売買の時に必要となるからである。

確認申請手数料

確認申請書 ( 作成は設計事務所が建築主の代理として行うが、申請者はあくまで建築主であることを忘れてはいけない、代行するために委任状が必要となる。確認申請料は設計料とは別である ) 

確認申請書の流れ 
正本 ( 確認申請書 + 図面 ) 建築主 (代理として設計者) → 建築指導課保管 


副本 ( 図面 ) 建築主(代理として設計者) → 建築指導課 → 消防保管(必要ない場合もある) 

副本 ( 確認通知書 + 図面 ) 建築主( 代理として設計者 )  → 建築指導課審査 → 消防審査 → 消防の同意 → 建築指導課 → 建築主へ
建築計画概要書 → 建築指導課
建築工事届 → 建築指導課→知事
委任状 → 建築指導課
浄化槽設置などの届け
   
 
建築主 ( 発注者 )
工事監理者
工事施工者 ( 建設業者 )
工事契約の支払条件によっては契約後、前払金支払い
契約が済むと、次の日からでも職人さんが来ると思っている方が多いようだけど、1〜2週間は  『 準備期間 』 というのがある。下請けの決定や迷惑を掛ける近所への挨拶回りとか、現場近くに職人用の駐車場を手配するとか・・・これもやっておかなければならない大切な工事施工者の仕事なのである。

監理報告書を読んで現場の状況や問題点を理解する
工事中の現場は、工事施工者の管理下にあるので安全のためにも、工事監理者や現場監督と共に見学すること。
情報の流れを統一するために、要望は工事監理者経由で話すこと。現場監督や職人さんに要望を伝えても彼らは困るだけ。
設計変更の時間的な期限は、発注前です。厳密にいうと、その前に施工図面が描かれているはずなので、施工図の承諾前ならば手戻りがでないということになります。しかし、構造に関わるような変更には期間的にかなりのゆとりが必要でしょう。
『 10時と15時にお茶とお菓子を出す方がいいの 』 ってよく聞かれることがあります。昔の大工さんとは違ってそういうことは必要ありません。でも、あれはあれで意味もあったのだと思います。建築主が日々の進み具合を把握できたわけです。ほとんど現場を見に行かない、まかせっぱなしというのもどうかと思う。
工事監理報告書
工事施工者からの提出書と工事監理者の議事録 ( 例えば 『 議事録 』 の提出は『 建築士法  』 や 『 建築監理業務委託書 』 上は求められていない。どちらも 「建築主 ( 委託者 )  に報告すること」・・・となっている。口頭であれ電話であれ、またはFAXでも文書でも報告となる ) などをまとめたもので二週間に一度建築主に提出

参考書
  地盤調査の説明(Geotec参照)
  コンクリートについて
  鉄筋について
  について(砂野設計事務所参照)
  ガラスについて(板厚計算)

2002/05/10 UP
2002/05/30以降に契約される建設工事では分別解体や再資源化が必要となります。→建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令(平成14年1月23日一部改正公布)→必要書類
前払金受取
着工と同時に提出して貰う書類  ( 以下その内容 )
1. 内訳書( 見積書 )

2. 全体工程表 ( 着工から竣工引き渡しまでの工程表 )

3. 現場代理人及び主任技術者選任届とその経歴書 

4. 下請負人通知書
二週間に一度提出して貰う工事報告書 ( 以下その内容 )
a. 工程表( 2週間・実績(赤書き) ) 

b. 今回までの議事録 

c. 工事出面報告書 ( こうじ・でづら・ほうこくしょ )
職人・・・例えば土工・人夫・鳶・鉄筋工・大工などなど・・・が、何人作業し、作業内容は何をしたか・・・その二週間の人工数の累計や実作業日数・天候などによる作業不能日数や定休日の数を書いた書類 

d. 工事総合進捗度表
0パーセントから100パーセントまでの予定グラフに赤線で施工実績を書いたモノ 

e. 工事進捗図
配置図にその期間にした作業内容を色分けして表示したモノ 

f. 現況写真
外観の場合、常に同じアングルから撮影した写真、二週間毎の変化の様子が分かる。必要ならば別アングルも添付する ( 内装など ) 

g. カタログやサンプルなど 

h. 試験成績書 
地盤の地耐力試験結果・レディミクストコンクリート配合報告書・コンクリート強度試験結果鉄筋ミルシート・鉄筋圧接引張試験・木材の含水率測定結果・電気の接地・水道管やガス管の耐圧試験結果などなど
i. 各種計画書
コンクリート打設計画書・施工計画書など
  施工図をチェックして修正部分があれば、工事施工者に返却し修正して貰う。修正ヶ所が無くなったら承諾し、原図にサインと日付を記入→職人さんやメーカーの手に渡り、部材などの製作が開始される 施工図 ( 製作者・・・工事施工者やメーカーが描きます ) →工事監理者へ提出 → 承諾 → メーカーや職人に渡される
契約の支払条件によっては、中間検査終了後、部分払 ( 中間金 ) 支払い
中間検査手数料
基礎や構造などのコンクリート打ち前に監理状況報告書を建築主事に提出しなければいけない場合がある。工事監理の状況と工事写真を添付する。また中間検査を受けるための中間検査申請書も必要である。 部分払 ( 中間金 ) 受取
  確認申請時から建物の内容に変更があった場合は、図面を添付した確認申請内容変更届と副本である確認申請内容変更届受理通知書を提出する  
完了検査手数料 工事完了審査申請書 → 建築指導課へ提出 
工事完了時には工事完了審査申請書などを提出して役所と完了検査の日時をうち合わせし、検査に立ち会う。合格すれば検査済証が発行される → 検査済証 ( けんさずみしょう ) がでて初めて建物の使用が法的に許可される 

世の中の建物のうち工事完了届け ( 工事完了審査申請書という名称になる以前の書式 ) を出し検査済証を受けるのは住宅の場合少ないらしい。50パーセントとか言われている。違法建築ということです。確認申請は提出されているので法律上は『工事中』という事になっているわけです。

工事完了検査の立会
竣工検査に立会 ( 検査内容を知っておくのはいいことだと思いますよ ) 建築主・工事監理者による竣工検査 → 手直しが完了するまでチェック 自主検査 ( 社内検査 ) を行い、その指摘及び手直し結果と完成検査願を工事監理者に提出 → 竣工検査の立会 → 指摘部分の手直し → 手直し工程表・手直しの方法など提出
鍵と完成書類を受け取った時点で建物は引き渡され、責任は建築主に移る 鍵と完成書類の引き渡しに立ち会う 建築主への鍵の引き渡し
完成書類 ( 鍵引渡書完成届工事引渡書・残金の請求書 ) を同時に提出
支払い
契約の支払条件によるが、一般的に手直し検査が終わった時点で工事残金と工事監理料が支払われる
設計図を現場の変更に合わせて修正→工事施工者へ竣工図の原図を渡す
工事監理料受取
工事残金受取 
竣工図書受取 竣工図書を建築主に渡す 竣工図書
01.A4ファイル
02.竣工図・施工図の製本
03.工事アルバム 
工程毎に必要な写真をアルバムに整理したモノ 。工事監理者が試験を行っている様子や、配筋の写真など 。例えば 『 塗装3回塗り 』 と図面で指示されている場合 、常に現場に工事監理者がいるわけではないので、写真でその作業を確かめることができるように、1回目と2回目の色を変えておき 、その塗り重ねの様子を撮影するという証拠写真。 よく、現場監督さんが小さい黒板を持って写真を撮っているでしょ ? あれです。
不具合など発生 → 設計事務所へ連絡 工事施工者と共に不具合の原因・責任の所在などを解明し、手直しの方法を決定する  設計者・工事監理者と共に不具合の原因・責任の所在などを解明し、手直しの方法を決定する
引き渡し後一年検査までの不具合などを設計者に報告 建築主から連絡のあった不具合と共に一年検査を行う → 不具合があった場合は上記と同じ作業を行う 一年検査の立会
  ある程度、不具合などが納まった後に、議事録や設計図などをPDFファイルとしてCDにまとめて建築主に提出 ( 語句による検索などが可能なため書類をひっくり返して捜すより便利 )

NO邸の場合の収録ファイル
01.基本計画図面
02.基本設計図面
03.実施設計図
04.竣工図
05.施工図
06.設計打合せ記録
07.工事監督記録
08.建築賞応募書類や写真
上記で687ページ 65MBのPDFファイルとなった

 
『 設計士 』 と呼ばれることが多いけど、どこからこういう言葉が生まれたんだろ ? 業界ではこういう言葉はないのに・・・。資格でいうなら 『 建築士 』 だし、業種でいうなら 『 設計事務所 』 ・・・そのどちらかがいいなぁ。メーカーの営業の人なんかだと 『 先生 』 って呼ぶ人がいる。スナックで 『 シャチョーさん 』 ってのと同じ感じ。それなら名前で呼べよな・・・なのです。 語句の説明
※設計事務所が行うのは『 監理  』
設計・設計図書・工事監理
※建築基準法による用語の定義
※都市計画法による用語の定義
語句の説明
※工事施工者の現場監督が行うのは現場の 『 管理 』
主任技術者
現場代理人
下請負・発注者
建設工事・建設業者

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