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建築士法(全文)

昭和二十五年法律第二百二号
最終改正 平成五年十一月十二日法律第八十九号
     平成九年六月二十日法律第九十五号
 

第一章 総則

(目的)
第一条
 この法律は、建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、その業務の適正をはかり、もつて建築物の質の向上に寄与させることを目的とする。

(定義)
第二条
 この法律で「建築士」とは、一級建築士、二級建築士及び木造建築士をいう。
 2 この法律で「一級建築士」とは、建設大臣の免許を受け、一級建築士の名称を用いて、設計、工事監理等の業務を行う者をいう。
 3 この法律で「二級建築士」とは、都道府県知事の免許を受け、二級建築士の名称を用いて、設計、工事監理等の業務を行う者をいう。
 4 この法律で「木造建築士」とは、都道府県知事の免許を受け、木造建築士の名称を用いて、木造の建築物に関し、設計、工事監理等の業務を行う者をいう。
 5 この法律で「設計図書」とは建築物の建築工事実施のために必要な図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書を、「設計」とはその者の責任において設計図書を作成することをいう。
 6 この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。
 7 この法律で「大規模の修繕」又は「大規模の模様替」とは、それぞれ建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第十四号又は第十五号に規定するものをいう。
 8 この法律で「延べ面積」、「高さ」又は「階数」とは、それぞれ建築基準法第九十二条の規定により定められた算定方法によるものをいう。

(一級建築士でなければできない設計又は工事監理)
第三条
 左の各号に掲げる建築物(建築基準法第八十五条第一項又は第二項に規定する応急架設建築物を除く。以下この章中同様とする。)を新築する場合においては、一級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。
 一 学校、病院、劇場、映画館、観覧場、公会堂、集会場(オーデイトリアムを有しないものを除く。)又は百貨店の用途に供する建築物で、延べ面積が五百平方メートルをこえるもの
 二 木造の建築物又は建築物の部分で、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの
 三 鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロツク造若しくは無筋コンクリート造の建築物又は建築物の部分で、延べ面積が三百平方メートル、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルをこえるもの
 四 延べ面積が千平方メートルをこえ、且つ、階数が二以上の建築物
 2 建築物を増築し、改築し、又は建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をする場合においては、当該増築、改築、修繕又は模様替に係る部分を新築するものとみなして前項の規定を適用する。

(一級建築士又は二級建築士でなければできない設計又は工事監理)
第三条の二
 前条第一項各号に掲げる建築物以外の建築物で、次の各号に掲げるものを新築する場合においては、一級建築士又は二級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。
 一 前条第一項第三号に掲げる構造の建築物又は建築物の部分で、延べ面積が三十平方メートルを超えるもの
 二 延べ面積が百平方メートル(木造の建築物にあつては、三百平方メートル)を超え、又は階数が三以上の建築物
 2 前条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
 3 都道府県は、土地の状況により必要と認める場合においては、第一項の規定にかかわらず、条例で、区域又は建築物の用途を限り、同項各号に規定する延べ面積(木造の建築物に係るものを除く。)を別に定めることができる。

(一級建築士、二級建築士又は木造建築士でなければできない設計又は工事監理)
第三条の三
 前条第一項第二号に掲げる建築物以外の木造の建築物で、延べ面積が百平方メートルを超えるものを新築する場合においては、一級建築士、二級建築士又は木造建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。
 2 第三条第二項及び前条第三項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第三項中「同項各号に規定する延べ面積(木造の建築物に係るものを除く。)とあるのは、「次条第一項に規定する延べ面積」と読み替えるものとする。


第二章 免許

(建築士の免許)
第四条
 一級建築士になろうとする者は、建設大臣の行う一級建築士試験に合格し、建設大臣の免許を受けなければならない。
 2 二級建築士又は木造建築士になろうとする者は、それぞれ都道府県知事の行う二級建築士試験又はおく造建築士試験に合格し、その都道府県知事の免許を受けなければならない。
 3 外国の建築士免許を受けた者で、一級建築士になろうとする者にあつては建設大臣が、二級建築士又は木造建築士になろうとする者にあつては都道府県知事が、それぞれ一級建築士又は二級建築士若しくは木造建築士と同等以上の資格を有すると認めるものは、前二項の試験を受けないで、一級建築士又は二級建築士若しくは木造建築士の免許を受けることができる。

(免許の登録)
第五条
 一級建築士、二級建築士又は木造建築士の免許は、それぞれ一級建築士名簿、二級建築士名簿又は木造建築士名簿に登録することによつて行う
 2 建設大臣又は都道府県知事は、一級建築士又は二級建築士若しくは木造建築士の免許を与えたときは、それぞれ一級建築士免許証又は二級建築士免許証若しくは木造建築士免許証を交付する。
 3 一級建築士の免許を受けようとする者は、登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の定めるところにより登録免許税を国に、二級建築士又は木造建築士の免許を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の免許手数料を都道府県に、それぞれ納付しなければならない。

(住所等の届出)
第五条の二
 一級建築士、二級建築士又は木造建築士は、免許証の交付の日から三十日以内に、住所その他の建設省令で定める事項を、一級建築士にあつては住所地の都道府県知事を経由して建設大臣に、二級建築士又は木造建築士にあつては免許を受けた都道府県知事及び住所地の都道府県知事に届け出なければならない。
 2 一級建築士、二級建築士又は木造建築士は、前項の建設省令で定める事項に変更があつたときは、その日から三十日以内に、その旨を、一級建築士にあつては住所地の都道府県知事を経由して建設大臣に、二級建築士又は木造建築士にあつては免許を受けた都道府県知事及び住所地の都道府県知事(都道府県の区域を異にして住所を変更したときは、変更前の住所地の都道府県知事)に届け出なければならない。
 3 前項に規定するもののほか、都道府県の区域を異にして住所を変更した二級建築士又は木造建築士は、同項の期間内に第一項の建設省令で定める事項を変更後の住所地の都道府県知事に届け出なければならない。

(名簿)
第六条
 一級建築士名簿は建設省に、二級建築士名簿又は木造建築士名簿は都道府県に、これを備える。

(絶対的欠格事由)
第七条
 次の各号に該当する者は、一級建築士、二級建築士又は木造建築士の免許を与えない。
 一 未成年者
 二 禁治産者又は準禁治産者
 三 第十条第一項の規定により免許を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者

(相対的欠格事由)
第八条
 次の各号の一に該当する者には、一級建築士、二級建築士又は木造建築士の免許を与えないことがある。
 一 禁錮以上の刑に処せられた者
 二 この法律の規定に違反して、又は建築物の建築に関し罪を犯して罰金の刑に処せられた者
 三 前条第三号に該当する者を除き、第十条第一項の規定により免許を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者

(免許の取消し)
第九条
 一級建築士、二級建築士又は木造建築士が虚偽又は不正の事実に基づいて免許を受けた者であることが判明したときは、免許を与えた建設大臣又は都道府県知事は、免許を取り消さなければならない。第七条第二号に該当するに至つたとき、又は本人から免許の取消しの申請があつたときも同様とする。

(懲戒)
第十条
 一級建築士、二級建築士又は木造建築士が次の各号の一に該当する場合においては、免許を与えた建設大臣又は都道府県知事は、戒告を与え、一年以内の期間を定めて業務の停止を命じ、又は免許を取り消すことができる。
 一 禁錮以上の刑に処せられたとき。
 二 この法律若しくは建築物の建築に関する他の法律又はこれらに基づく命令若しくは条例の規定に違反したとき。
 三 業務に関して不誠実な行為をしたとき。
 2 建設大臣又は都道府県知事は、前項の規定により、業務の停止を命じようとするときは、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞をおこなわなければならない。
 3 第一項の規定による処分に係る聴聞の主宰者は、必要があると認めるときは、参考人の意見を聴かなければならない。
 4 建設大臣又は都道府県知事は、第一項の規定により、業務の停止又は免許の取消をしようとするときは、それぞれ中央建築士審査階又は都道府県建築士審査会の同意を得なければならない。
 5 建設大臣又は都道府県知事は、第二項の規定により、出頭を求めた参考人に対して、政令の定めるところにより、旅費、日当その他の費用を支給しなければならない。

(省令及び都道府県規則への委任)
第十一条
 この章に規定するもののほか、一級建築士、二級建築士又は木造建築士の免許の申請、登録の訂正及び抹消、免許証の交付、再交付及び返納並びに住所等の届出に関して必要な手続は、一級建築士に係るものにあつては建設省令で、二級建築士又は木造建築士に係るものにあつては都道府県規則で定める。
 

第三章 試験

(試験の内容)
第十二条
 一級建築士試験及び二級建築士は、設計及び工事監理に必要な知識及び工事監理に必要な知識及び技能について行う。
 2 木造建築士試験は、小規模の木造の建築物に関する設計及び工事監理に必要な知識及び技能について行う。

(試験の施行)
第十三条
 一級建築士試験、二級建築士試験又は木造建築士試験は、毎年少なくとも一回、一級建築士試験にあつては建設大臣が、二級建築士試験及び木造建築士試験にあつては都道府県知事が行う。

(一級建築士試験の受験資格)
第十四条
 一級建築士試験は、左の各号の一に該当する者でなければ、これを受けることができない。
 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学(短期大学を除く。)又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学において、正規の建築又は土木に関する課程を修めて卒業した後、建築に関して二年以上の実務の経験を有する者
 一の二 学校教育法による短期大学において、正規の建築又は土木に関する修業年限三年の課程(夜間において授業を行なうものを除く。)を修めて卒業した後、建築に関して三年以上の実務の経験を有する者
 二 前号に該当する者を除き、学校教育法による短期大学若しくは高等専門学校又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校において、正規の建築又は土木に関する課程を修めて卒業した後、建築に関して四年以上の実務の経験を有する者
 三 二級建築士として四年以上の実務の経験を有する者
 四 建設大臣が前各号と同等以上の知識及び技能を有すると認める者

(二級建築士試験及び木造建築士試験の受験資格)
第十五条
 二級建築士試験及び木造建築士試験は、次の各号の一に該当する者でなければ、これを受けることができない。
 一 学校教育法による大学若しくは高等専門学校、旧大学令による大学又は級専門学校令による専門学校において、正規の建築に関する課程を修めて卒業した者又はこれらの学校において、正規の土木に関する課程を修めて卒業した後、建築に関して一年以上の実務の経験を有する者
 二 学校教育法による高等学校又は旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校において、正規の建築又は土木に関する課程を修めて卒業した後、建築に関して三年以上の実務の経験を有する者
 三 都道府県知事が前各号と同等以上の知識及び技能を有すると認める者
 四 建築に関して七年以上の実務の経験を有する者

(中央指定試験機関の指定)
第十五条の二
 建設大臣は、その指定する者(以下「中央指定機関」という。)に、一級建築士試験の実施に関する事務(以下「一級建築士試験事務」という。)を行わせることができる。
 2 中央指定試験機関の指定は、一を限り、一級建築士試験事務を行おうとする者の申請により行う。
 3 建設大臣は、中央指定試験機関の指定をしようとするときは、あらかじめ、中央建築士審査会の意見を聴き、その意見を尊重しなければならない。
 4 建設大臣は、中央指定試験機関に一級建築士試験事務を行わせるときは、当該一級建築士試験事務を行わないものとする。

(指定の基準)
第十五条の三
 建設大臣は、前条第二項の申請が次の各号に適合しているとみとめるときでなければ、中央指定試験機関の指定をしてはならない。
 一 職員、設備、一級建築士試験事務の実施の方法その他の事項についての一級建築士試験事務の実施に関する計画が一級建築士試験事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
 二 前号の一級建築士試験事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
 三 一級建築士試験事務以外の業務を行つている場合には、その業務を行うことによつて一級建築士試験事務が不公正になるおそれがないこと。
 2 建設大臣は、前条第二項の申請をした者が、次の各号の一に該当するときは、中央指定試験機関の指定をしてはならない。
 一 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人以外の者であること。
 二 この法律の規定に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者であること。
 三 第十五条の十四第一項又は第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
 四 その役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
 イ 第二号に該当する者
 ロ 第十五条の五第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者

(指定の公示等)
第十五条の四
 建設大臣は、中央指定試験機関の指定をしたときは、中央指定試験機関の名称及び住所、一級建築士試験事務を行う事務所の所在地並びに一級建築士試験事務の開始の日を公示しなければならない。
 2 中央指定試験機関は、その名称若しくは住所又は一級建築士試験事務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を建設大臣に届け出なければならない。
 3 建設大臣は、前項の規定による届出があつたときは、その旨を公示しなければならない。

(役員の選任及び解任)
第十五条の五
 中央指定試験機関の役員の選任及び解任は、建設大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
 2 建設大臣は、中央指定試験機関の役員が、この法律(この法律に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第十五条の八第一項の試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は一級建築士試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、中央指定試験機関に対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。

(試験委員)
第十五条の六
 中央指定試験機関は、試験の問題の作成及び採点を試験委員に行わせなければならない。
 2 前項の試験委員は、建築士のうちから選任しなければならない。この場合において、やむを得ない理由があるときは、学識経験のある者のうちから、選任することができる。ただし、その数は、試験委員の半数を超えてはならない。
 3 中央指定試験機関は、第一項の試験委員を選任し、又は解任したときは、遅滞なくその旨を建設大臣に届け出なければならない。
 4 前条第二項の規定は、第一項の試験委員の解任について準用する。

(秘密保持義務等)
第十五条の七
 中央指定試験機関の役員若しくは職員(前条第一項の試験委員を含む。)又はこれらの職にあつた者は、一級建築士試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
 2 前項に定めるもののほか、前条第一項の試験委員は、試験の問題の作成及び採点に当たつて、厳正を保持し不正のないようにしなければならない。
 3 一級建築士試験事務に従事する中央指定試験機関の役員及び職員(前条第一項の委員を含む。)は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

(試験事務規程)
第十五条の八
 中央指定試験機関は、建設省令で定める一級建築士試験事務の実施に関する事項について試験事務規程を定め、建設大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 2 建設大臣は、前項の認可をした試験事務規程が一級建築士試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、中央指定試験機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
 3 第十五条の二第三項の規定は、建設大臣が第一項又は前項の規定により認可又は命令をする場合に準用する。

(事業計画等)
第十五条の九
 中央指定試験機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後遅滞なく)、建設大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 2 中央指定試験機関は、毎事業年度、事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に建設大臣に提出しなければならない。

(帳簿の備付け等)
第十五条の十
 中央指定試験機関は、建設省令で定めるところにより、一級建築士試験事務に関する事項で建設省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。

(監督命令)
第十五条の十一
 建設大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、中央指定試験機関に対し、一級建築士試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。

(報告及び立ち入り検査)
第十五条の十二
 建設大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、中央指定試験機関に対し、一級建築士試験事務の状況に関し必要な報告を求め、又はその職員に、中央指定試験機関の事務所に立ち入り、一級建築士試験事務の状況若しくは設備、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
 2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

(一級建築士試験事務の休廃止)
第十五条の十三
 中央指定試験機関は、建設大臣の許可を受けなければ、一級建築士試験事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
 2 建設大臣は、前項の許可をしたときは、その旨を公示しなければならない。

(指定の取消し等)
第十五条の十四
 建設大臣は、中央指定試験機関が第十五条の三第二項各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは、その指定を取り消さなければならない。
 2 建設大臣は、中央指定試験機関が次の各号の一に該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて一級建築士試験事務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
 一 第十五条の三第一項各号の一に適合しなくなつたと認めるとき。
 二 第十五条の四第二項、第十五条の六第一項から第三項まで、第十五条の九、第十五条の十又は前条第一項の規定に違反したとき。
 三 第十五条の五第二項(第十五条の六第四項において準用する場合を含む。)、第十五条の八第二項又は第十五条の十一の規定による命令に違反したとき。
 四 第十五条の八第一項の規定により認可を受けた試験事務規程によらないで一級建築士試験事務を行つたとき。
 五 不正な手段により指定を受けたとき。
 3 第十五条の二第三項の規定は、建設大臣が前項の規定による処分をする場合に準用する。
 4 建設大臣は、第一項若しくは第二項の規定により指定を取り消し、又は同項の規定により一級建築士試験事務の全部又は一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。

(建設大臣による試験の実施)
第十五条の十五
 建設大臣は、中央指定試験機関が第十五条の十三第一項の規定により一級建築士試験事務の全部若しくは一部を休止したとき、前条第二項の規定により中央指定試験機関に対し一級建築士試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は中央指定試験機関が天災その他の事由により一級建築士試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となつた場合において必要があると認めるときは、第十五条の二第四項の規定にかかわらず、一級建築士試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
 2 建設大臣は、前項の規定により一級建築士試験事務を行うこととし、又は同項の規定により行つている一級建築士試験事務を行わないこととするときは、あらかじめその旨を公示しなければならない。
 3 建設大臣が、第一項の規定により一級建築士試験事務を行うこととし、第十五条の十三第一項の規定により一級建築士試験事務の廃止を許可し、又は前条第一項若しくは第二項の規定により指定を取り消した場合における一級建築士試験事務の引継ぎその他の必要な事項は、建設省令で定める。

(中央指定試験機関がした処分等に係る審査請求)
第十五条の十六
 中央指定試験機関が行う一級建築士試験事務に係る処分又はその不作為については、建設大臣に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。

(都道府県指定試験機関)
第十五条の十七
 都道府県知事は、その指定する者(以下「都道府県指定機関」という。)に、二級建築士試験及び木造建築士試験の実施に関する事務(以下「二級建築士試験等事務」という。)を行わせることができる。
 2 都道府県指定試験機関の指定は、都道府県ごとに一を限り、二級建築士試験等事務を行おうとする者の申請により行う。
 3 都道府県知事は、都道府県指定試験機関の指定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県建築士審査会の意見を聴き、その意見を尊重しなければならない。
 4 都道府県知事は、都道府県指定試験機関に二級建築士等試験事務を行わせるときは、当該二級建築士等試験事務を行わないものとする。
 五 第十五条の三から前条までの規定は、都道府県指定試験機関について準用する。この場合において、これらの規定中「建設大臣」とあるのは「都道府県知事」と、「一級建築士試験事務」とあるのは「二級建築士等試験事務」と、第十五条の三中「前条第二項」とあるのは「第十五条の十七第二項」と、第十五条の五第二項中「命令」とあるのは「命令、規則」と、第十五条の八第三項及び第十五条の十四第三項中「第十五条の二第三項」とあるのは「第十五条の十七第三項」と、第十五条の十五第一項中「第十五条の二第四項」とあるのは「第十五条の十七第四項」と読み替えるものとする。

(受験手数料)
第十六条
 一級建築士試験を受けようとする者は国(中央指定試験機関が行う試験を受けようとする者にあつては、中央指定試験機関)に、二級建築士又は木造建築士試験を受けようとする者は都道府県(都道府県指定試験機関が行う試験を受けようとする者にあつては、都道府県指定試験機関)に、政令の定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を納付しなければならない。
 2 前項の規定により中央指定試験機関又は都道府県指定試験機関に納められた手数料は、それぞれ中央指定試験機関又は都道府県指定試験機関の収入とする。

(省令及び都道府県規則への委任)
第十七条
 この章に規定するもののほか、一級建築士試験の科目、受験手続その他一級建築士試験に関して必要な事項並びに二級建築士試験及び木造建築士試験の基準は、建設省令で定める
 2 この章に規定するもののほか、二級建築士試験及び木造建築士試験の科目、受験手続その他二級建築士試験及び木造建築士試験に関して必要な事項は、都道府県規則で定める。


第四章 業務

(業務執行)
第十八条
 建築士は、その業務を誠実に行い、建築物の質の向上に努めなければならない。
 2 建築士は、設計を行う場合においては、これを法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない。
 3 建築士は、設計を行う場合においては、設計の委託者に対し、設計の内容に関して適切な説明を行うように努めなければならない。
 4 建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施行者に注意を与え、工事施行者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない

(設計の変更)
第十九条
 一級建築士、二級建築士又は木造建築士は、他の一級建築士、二級建築士又は木造建築士の設計した図書の一部を変更しようとするときは、当該一級建築士、二級建築士又は木造建築士の承諾を求めなければならない。ただし、承諾を求めることのできない事由があるとき、又は承諾が得られなかつたときは、自己の責任において、その設計図書の一部を変更することができる。

(業務に必要な表示行為)
第二十条
 一級建築士、二級建築士又は木造建築士は、設計を行つた場合においては、その設計図書に一級建築士、二級建築士又は木造建築士たる表示をして記名及びなつ印をしなければならない。設計図書の一部を変更した場合も同様とする。
 2 建築士は、工事監理を終了したときは、直ちに、建設省令で定めるところにより、その結果を文書で建築主に報告しなければならない。
 3 建築士は、大規模の建築物その他の建築物の建築設備(建築基準法第二条第三号に規定するものをいう。以下同じ。)に係る設計又は工事監理を行う場合において、建築設備に関する知識及び技能につき建設大臣が定める資格を有する者の意見を聴いたときは、第一項の規定による設計図書又は前項の規定による報告書において、その旨を明らかにしなければならない。

(その他の業務)
第二十一条
 建築士は、設計及び工事監理を行うほか、建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査又は鑑定及び建築に関する法令又は条例に基づく手続の代理等の業務(木造建築士にあつては、木造の建築物に関する業務に限る。)を行うことができる。

(知識及び技能の維持向上)
第二十二条
 建築士は、設計及び工事監理に必要な知識及び技能の維持向上に努めなければならない。
 2 建設大臣及び都道府県知事は、設計及び工事監理に必要な知識及び技能の維持向上を図るため、必要に応じ、講習の実施、資料の提供その他の措置を講ずるものとする。
 

第四章の二 建築士会及び建築士会連合会

(建築士会及び建築士会連合会)
第二十二条の二
 建築士は、都道府県の区域ごとに、建築士会と称する民法第三十四条の規定による法人を設立することができる。
 2 建築士会は、全国を単位として、建築士会を会員とする建築士会連合会と称する民法第三十四条の規定による法人を設立することができる。
 3 建築士会及び建築士会連合会は、建築士の品位の保持及びその業務の進歩改善に資するため会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。


第五章 建築士事務所

(登録)
第二十三条
 一級建築士、二級建築士若しくは木造建築士又はこれらの者を使用する者は、他人の求めに応じ報酬を得て、設計、工事監理、建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査若しくは鑑定又は建築に関する法令若しくは条例に基づく手続の代理(木造建築士又は木造建築士を使用する者(木造建築士のほかに、一級建築し又は二級建築士を使用する者を除く。)にあつては、木造の建築物に関する業務に限る。以下「設計等」という。)を行うことを業としようとするときは、一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所を定めて、その建築士事務所について、この法律の定めるところにより、登録を受けなければならない。
 2 前項の登録は、五年間有効とする。
 3 第一項の登録の有効期間の満了後、引き続き、他人の求めに応じ報酬を得て、設計等を行うことを業としようとする者は、その建築士事務所について更新の登録を受けなければならない。

(登録の申請)
第二十三条の二
 前条第一項又は第三項の規定により建築士事務所について登録を受けようとする者(以下「登録申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した登録申請書をその建築士事務所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
 一 建築士事務所の名称及び所在地
 二 一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所の別
 三 登録申請者が個人である場合はその氏名、法人である場合はその名称及び役員(業務を執行する社員、取締役又はこれらに準ずる者をいう。以下この章において同じ。)の氏名
 四 建築士事務所を管轄する建築士の氏名及びその者の一級建築士、二級建築士又は木造建築士の別
 五 前各号に掲げるもののほか、建設省令で定める事項
 2 登録申請者は、実費を勘案して政令で定める額の登録手数料を都道府県に納付しなければならない。

(登録の実施)
第二十三条の三
 都道府県知事は、前条第一項の規定による登録の申請があつた
場合においては、次条の規定により登録を拒否する場合を除くほか、遅滞なく、前条第一項各号に掲げる事項及び登録年月日、登録番号その他建設省令で定める以降を一級建築士事務所登録簿、二級建築士事務所登録簿又は木造建築士事務所登録簿(以下「登録簿」という。)に登録しなければならない。
 2 都道府県知事は、前項の規定による登録をした場合においては、直ちにその旨を当該登録申請者に通知しなければならない。

(登録の拒否)
第二十三条の四
 都道府県知事は、登録申請者が次の各号の一に該当する場合又は登録申請書に重要な事項についての虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、その登録を拒否しなければならない。
 一 破産者で復権を得ない者
 二 第二十六条第一項又は第二項の規定により建築士事務所について登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者(法人である場合においては、取消しの日において役員であつた者でその取消しの日から起算して二年を経過しないものを含む。)
 三 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者でその法定代理人が第一号又は前号に該当するもの
 四 法人でその役員のうちに第一号又は第二号に該当する者のあるもの
 五 建築士事務所について第二十四条第一項の要件を欠く者
 2 都道府県知事は、登録申請者が次の各号の一に該当する場合は、その登録を拒否することができる。
 一 第七条第三号又は第八条各号の一に該当する者
 二 第二十六条第二項の規定により建築士事務所について閉鎖の命令を受け、その期間が満了しない者(法人である場合においては、命令のあつた日において役員であつた者でその期間が満了しないものを含む。)
 三 前項第二号に該当する者を除き、第二十六条第一項又は第二項の規定により建築士事務所について登録を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者(法人である場合においては、取消しの日において役員であつた者でその取消しの日から起算して二年を経過しないものを含む。)
 四 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者でその法定代理人が第一号、第二号又は前号に該当するもの
 五 法人でその役員のうちに第一号、第二号又は前号に該当する者のあるもの
 3 都道府県知事は、前二項の規定により登録を拒否した場合においては、遅滞なく、その理由を記載した文書をもつて、その旨を当該登録申請者に通知しなければならない。

(変更の届出)
第二十三条の五
 第二十三条の三第一項の規定により建築士事務所について登録を受けた者(以下「建築士事務所の開設者」という。)は、第二十三条の二第一項第一号又は第三号から第五号までに掲げる事項について変更があつたときは、二週間以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。
 2 第二十三条の三第一項及び前条の規定は、前項の規定による変更の届出があつた場合に準用する。

(廃業等の届出)
第二十三条の六
 建築士事務所の開設者が左の各号の一に該当することとなつた場合においては、当該各号に掲げる者は、三十日以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。
 一 建築士事務所の開設者がその登録を受けた建築士事務所に係る業務を廃止したときは、建築士事務所の開設者であつた者
 二 建築士事務所の開設者が死亡したときは、その相続人
 三 建築士事務所の開設者が破産したときは、その破産管財人
 四 法人が合併により解散したときは、その役員であつた者
 五 法人が破産又は合併以外の事由により解散したときは、その清算人

(登録の抹消)
第二十三条の七
 都道府県知事は、左の各号に掲げる場合においては、登録簿につき、当該建築士事務所に係る登録を抹消しなければならない。
 一 前条の規定による届出があつたとき。
 二 登録の有効期間の満了の際更新の登録の申請がなかつたとき。
 三 第二十六条第一項又は第二項の規定により登録を取り消したとき。
 2 第二十三条の三第二項の規定は、前項の規定により登録を抹消した場合に準用する。

(登録簿の閲覧)
第二十三条の八
 都道府県知事は、登録簿を一般の閲覧に供しなければならない。

(無登録業務の禁止)
第二十三条の九
 建築士は、第二十三条の三第一項の規定による登録を受けないで、業として他人の求に応じ報酬を得て、設計等を行つてはならない。
 2 何人も、第二十三条の三第一項の規定による登録を受けないで、建築士を使用して、業として他人の求に応じ報酬を得て、設計等を行つてはならない。

(建築士事務所の管理)
第二十四条
 一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所は、それぞれ選任の一級建築士、二級建築士又は木造建築士が管理しなければならない。
 2 前項の規定により建築士事務所を管理する建築士は、その建築士事務所の業務に係る技術的事項を総括し、その者と建築士事務所の開設者が異なる場合においては、建築士事務所の開設者に対し、技術的観点からその業務が円滑かつ適正に行われるよう必要な意見を延べるものとする。

(帳簿の備付等及び図書の保存)
第二十四条の二
 建築士事務所の開設者は、建設省令で定めるところにより、その業務に関する事項で建設省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
 2 前項に定めるもののほか、建築士事務所の開設者は、建設省令で定める業務に関する図書を保存しなければならない。

(標識の掲示)
第二十四条の三
 建築士事務所の開設者は、その建築士事務所において、公衆の見易い場所に建設省令で定める標識を掲げなければならない。

(書類の閲覧)
第二十四条の四
 建築士事務所の開設者は、建設省令で定めるところにより、当該建築士事務所が行つた業務の実績、当該建築士事務所を管理する建築士の建築士としての実務の経験その他建設省令で定める事項を記載した書類を、当該建築士事務所に備え置き、設計等を委託しようとする建築主(建築主になろうとする者を含む。以下同じ。)の求めに応じ、閲覧させなければならない。

(書面の交付)
第二十四条の五
 建築士事務所の開設者は、建築主から設計又は工事監理の委託を受けたときは、建設省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を当該建築主に交付しなければならない。
 一 設計又は工事監理の種類及びその内容
 二 設計又は工事監理の実施の期間及び方法
 三 報酬の額及び支払の時期
 四 契約の解除に関する事項
 五 前各号に掲げるもののほか、建設省令で定める事項

(業務の報酬)
第二十五条
 建設大臣は、中央建築士審査会の同意を得て、建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準を定め、これを勧告することができる。

(監督処分)
第二十六条
 都道府県知事は、建築士事務所の開設者が左の各号の一に該当する場合においては、当該建築士事務所の登録を取り消さなければならない。
 一 虚偽又は不正の事実に基づいて第二十三条の三第一項の規定による登録を受けたとき。
 二 第二十三条の四第一項各号の一に該当するに至つたとき。
 三 第二十三条の六の規定による届出がなくて同条各号の一に該当する事実が判明したとき。
 2 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する事実がある場合においては、当該建築士事務所の開設者に対して戒告を与え、一年以内の期間を定めて当該建築士事務所の閉鎖を命じ、又は当該建築士事務所の登録を取り消すことができる。
 一 建築士事務所の開設者が第二十三条の四第二項第一号、第三号、第四号(同号に規定する法定代理人が同項第二号に該当する場合を除く。)又は第五号(同号に規定する法人の役員が同項第二号に該当する場合を除く。)に該当するに至つたとき。
 二 建築士事務所の開設者が第二十三条の五第一項の規定による変更の届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
 三 建築士事務所の開設者が第二十四条の二から第二十四条の五までの規定に違反したとき。
 四 建築士事務所を管理する建築士が第十条第一項の規定により懲戒の処分を受けたとき。
 五 建築士事務所に属する建築士が、その属する建築士事務所の業として行つた行為により、第十条第一項の規定により懲戒の処分を受けたとき。
 六 建築士事務を管理する二級建築士又は木造建築士が、第三条又は第三条の二の規定に違反して、建築物の設計又は工事監理をしたとき。
 七 建築士事務所に属する二級建築士又は木造建築士が、その属する建築士事務所の業として、第三条又は第三条の二の規定に違反して、建築物の設計又は工事監理をしたとき。
 八 建築士事務所に属する者で建築士でないものが、その属する建築士事務所の業として、第三条から第三条の三までの規定に違反して、建築物の設計又は工事監理をしたとき。
 九 建築士事務所の開設者又は建築士事務所を管理する建築士がこの法律の規定に基づく都道府県知事の処分に違反したとき。
 十 前各号に掲げるもののほか、建築士事務所の開設者がその業務に関し不正な行為をしたとき。
 3 都道府県知事は、前項の規定により建築士事務所の閉鎖を命じようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
 4 第十条第三項から第五項までの規定は、都道府県知事が第一項若しくは第二項の規定により建築士事務所の登録を取り消し、又は同項の規定により建築士事務所の閉鎖を命ずる場合に準用する。

(報告及び検査)
第二十六条の二
 都道府県知事は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、建築士事務所の開設者若しくは建築士事務所を管理する建築士に対し、必要な報告を求め、又は当該職員をして建築士事務所に立ち入り、図書その他の物件を検査させることができる。
 2 当該職員は、前項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
 3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(省令への委任)
第二十七条
 この章に規定するものの外、建築士事務所の登録に関して必要な事項は、建設省令で定める。
 

第五章の二 建築士事務所の業務の適正な運営等を図ることを目的とする団体の指定

(指定法人)
第二十七条の二
 建設大臣は、建築士事務所の業務の適正な運営及び設計等を委託する建築主の利益の保護を図ることを目的として民法第三十四条の規定により設立された法人であつて、次項に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、同項に規定する業務を行う者として指定することができる。
 2 前項の指定を受けた法人(以下「指定法人」という。)は、次に掲げる業務を行うものとする。
 一 建築士事務所の業務に関し、契約の内容の適正化その他設計等を委託する建築主の利益の保護を図るため必要な建築士事務所の開設者に対する指導、勧告その他の業務
 二 建築士事務所の業務に対する設計等を委託する建築主等からの苦情の処理
 三 建築士事務所の開設者に対する研修
 四 その他指定法人の目的を達成するために必要な業務

(改善命令)
第二十七条の三
 建設大臣は、指定法人の前条第二項に規定する業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、その指定法人に対し、その改善に必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

(指定の取消し)
第二十七条の四
 建設大臣は、指定法人が前条の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。

(報告及び立入検査)
第二十七条の五
 建設大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定法人に対し、その業務の状況に関し必要な報告を求め、又はその職員に、指定法人の事務所に立ち入り、その業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
 2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
 3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
 

第六章 建築士審査会

(建築士審査会)
第二十八条
 一級建築士試験、二級建築士試験又は木造建築士試験に関する事務(中央指定試験機関又は都道府県指定試験機関が行う事務を除く。)をつかさどらせるとともに、この法律によりその権限に属せさせられた事項を処理させるため、建設省に中央建築士審査会を、都道府県に都道府県建築士審査会を置く。

(建築士審査会の組織)
第二十九条
 中央建築士審査会及び都道府県建築士審査会は、それぞれ委員十人以内をもつて組織する。
 2 中央指定試験機関又は都道府県指定試験機関が一級建築士試験事務又は二級建築士等試験事務を行う場合を除き、試験の問題の作成及び採点を行わせるため、一級建築士試験にあつては中央建築士審査会に、二級建築士試験又は木造建築士試験にあつては都道府県建築士審査会に、それぞれ試験委員を置く。
 3 委員及び前項の試験委員は、建築士のうちから、中央建築士審査会にあつては建設大臣が、都道府県建築士審査会にあつては都道府県知事が任命する。この場合において、やむを得ない理由があるときは、学識経験のある者のうちから、任命することができる。ただし、その数は、それぞれ委員又は試験委員の半数を超えてはならない。

(委員の任期)
第三十条
 委員の任期は、二年とする。但し、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
 2 前項の委員は、再任されることができる。

(会長)
第三十一条
 中央建築士審査会及び都道府県建築士審査会にそれぞれ会長を置き、委員の互選によつて定める。
 2 会長は、会務を総理する。
 3 会長に事故のあるときは、委員のうちからあらかじめ互選された者が、その職務を代理する。

第三十二条
 削除

(不正行為の禁止)
第三十三条
 委員又は第二十九条第二項の試験委員は、その事務の施行に当たつて、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。

(政令への委任)
第三十四条
 この章に規定するものの外、中央建築士審査会及び都道府県建築士審査会に関して必要な事項は、政令で定める。
 

第七章 雑則

(名称の使用禁止)
第三十四条の二
 建築士でない者は、建築士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
 2 二級建築士は、一級建築士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
 3 木造建築士は、一級建築士若しくは二級建築士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

(経過措置)
第三十四条の三
 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
 

第八章 罰則

第三十五条
 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 一 一級建築士、二級建築士又は木造建築士の免許を受けないで、それぞれその業務を行う目的で一級建築士、二級建築士又は木造建築士の名称を用いた者
 二 虚偽又は不正の事実に基づいて一級建築士、二級建築士又は木造建築士の免許を受けた者
 三 第三条から第三条の三までの規定に違反して、建築物の設計又は工事監理をした者
 四 第十条第一項の規定による業務停止命令に違反した者
 四の二 虚偽又は不正の事実に基づいて第二十三条の三第一項の規定による登録を受けた者
 四の三 第二十三条の九第一項又は第二項の規定に違反した者
 五 第二十四条第一項の規定に違反した建築士事務所の開設者
 六 第二十六条第二項の規定による建築士事務所の閉鎖命令に違反した者
 七 第三十三条の規定に違反して、事前に試験問題を漏らした者

第三十五条の二
 第十五条の七第一項(第十五条の十七第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者又は第十五条の七第二項(第十五条の十七第五項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定に違反して事前に試験問題を漏らした者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第三十五条の三
 第十五条の十四第二項(第十五条の十七第五項において準用する場合を含む。)の規定による一級建築士試験事務又は二級建築士等試験事務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした中央指定試験機関又は都道府県指定試験機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第三十五条の四
 第十五条の七第二項又は第三十三条の規定に違反して不正の採点をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

第三十六条
 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
 一 第二十三条の五第一項の規定による変更の届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 二 第二十六条の二第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
 三 第三十四条の二の規定に違反した者

第三十六条の二
 次の各号の一に該当するときは、その違反行為をした中央指定試験機関又は都道府県指定試験機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
 一 第十五条の十(第十五条の十七第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
 二 第十五条の二第一項(第十五条の十七第五項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第十五条の十二第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき
 三 第十五条の十三第一項(第十五条の十七第五項において準用する場合を含む。)の許可を受けないで、一級建築士試験事務又は二級建築士等試験事務の全部を廃止したとき。

第三十六条の三
 第二十七条の五第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした指定法人の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する

第三十七条
 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三十五条又は第三十六条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

第三十八条
 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。
 一 第二十三条の六、第二十四条の二第二項又は第二十四条の三の規定に違反した者
 二 第二十四条の二第一項の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつた者
 三 第二十四条の四の規定に違反した書類を備え置かず、若しくは設計等を委託しようとする建築主の求めに応じて閲覧させず、又は虚偽の記載のある書類を備え置き、若しくは設計等を委託しようとする建築主に閲覧させた者


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