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手抜き工事・違法建築

9/20/99 朝日新聞トルコ地震についてより

『手抜き工事により地震の被害を拡大したとして数十人の建設業者が逮捕されたが、違法建築への事前の立入検査を怠った行政側の責任追及は進んでいない。トルコの法律では検査を担当する市当局の係官に対し、最高で懲役三年を求刑できるという。』

こんな記事が掲載されていました。日本では新幹線のトンネルにしても阪神の大震災にしても手抜き工事をした建設業者が逮捕されたという話題は聞いたことがありません。事故の本当の原因が手抜き工事によるものかを特定するのは難しいのでしょうが、発生から一ヶ月間で手抜き業者を逮捕するというトルコ行政の姿勢の方が進んでいると思います。この際手抜き工事を一掃しようという姿勢がみられますが、日本ではそういう姿勢のかけらさえ観られないのは何故でしょうか。まぁ、行政側への追求が進まないのは日本でも同じですが。

違法建築が減らないのは、確認申請を出して着工しても工事完了届を出さず完了検査を受けない人が多いからです。何故、検査を受けないかというと罰則がないからでしょう ? (あるのでしょうか ? 私が知らないだけかも知れませんが)
違法建築や手抜き工事にならないために行政・建築士・施工者・建主それぞれに罰則を与えなければいけないはずです。地震での死者の殆どは住宅においてらしいのですが、阪神大震災以後もあまり効果のある行政の変化はないように思われます。確認申請や中間検査・完了検査のやり方が多少変わるようですが、はっきり言って改悪ですし、実際の手抜き工事や違法建築の成り立ちを知らない官僚が机の上で作ったような変更で、がっかりでした。この改悪についてはTKA氏のページで不思議な発想と題してわかりやすく説明されています。

例えば、中間検査や完了検査を受けたとしても、手抜き工事を発見できるかというと、しないよりはまし・・・程度かも知れませんが。違法建築は『検査が終わってから屋根裏に一部屋造る』事をするようでは、なくなるはずもないと思います。結局、手抜きや違法建築をすることは割に合わないことが行政から建築士・施工者・建主に伝わらないことには無くならないでしょうね。例えば『誘拐』というような犯罪と同じように・・・。

それにしてもトルコ・ギリシャ・台湾と大きな地震が相次いでいますが、設計を職業としている身としては、建物が壊れているのを観るのはつらいものを感じます。


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