以前､****事務所に勤めているときの所員に『****』という人がいました｡*****の****だという事もあって､何年にも渡って現場に連れていってずっと建築のやり方を教えてきたつもりでした｡建築というのは｢技術｣や｢テクニック｣だけではなく｢心｣がこもっていないと決して良いものができないはずなのですが､どうもその一番大切な心までは伝えることができませんでした｡

****の設計は､基本的なプランニングやディテールを決定した後､彼に勉強をして貰う意味もあって､実施設計図をまとめる作業をしてもらいました｡当然､私が図面全てに渡って細かいところまでチェックしているのはいつもの通りです｡

現場がスタート後､彼を担当にして私が行くのは定例会議くらいにしていたのですが､しばらくして現場の担当者が『今回の工事は****さんの設計なんですね』と私に｡｢･･･｣｡あらら､いつの間に彼の設計になっていたんだろう･･･と驚いてしまいました｡｢担当になって設計図を描くこと｣イコール｢設計した｣ってことになるんだろうか ?と僕にとっては衝撃的な疑問でした｡

『これは私の担当だ』ということと『これは私の設計だ』という言葉には大きな差があると私は思うのですが､その差についてあまり意識しない人もいるようで､それを違うと言うのも疲れるような気がして黙っていたのですが､先日あのときにしっかり叱っておけばよかったと思うことがありました｡

彼はその後独立して事務所を開いたのですが､その地域の冊子に文章を書いていることを知人から聞きました｡その知人がいうには『前に長村クンが****に書いていた内容とそっくり同じなんだけど･･･』と｡見せて貰うと言われたとおり､前に僕の書いた文章と内容が殆ど同じ｡いかにも自分で考えたように書いてあります｡

常識って人それぞれでその内容は違うのかも知れませんが､人の文章を表面だけ変えて内容をそっくりパクルという行為｡それを話題として話すならまだしも印刷物にして･･･と言うことに罪悪感とか恥ずかしさって湧かないものなのでしょうか｡それ以前に､それを知っている人が見て｢これは･･･パクリじゃないの ?｣と思われることに対して｢自分の中のプライド｣がそれを戒めるのが普通でしょう｡それとも､まずいことだと思いもしていないということでしょうか ?

僕にはちょっと理解できないなぁ｡･･･そういう人がやっている事務所も｢設計事務所｣なんだよね｡まいっちゃうなぁ｡

直接本人に文句を言おうかと思ったのですが､その知人から･･･

そのような、手合いを相手にするほど貴君のやりたいことは小さくないはずであり、貴君のレベルを彼に合わせるまで、下げる必要は無いと思うのですが･･･｡

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かの冊子の記事をはじめて見た段階で僕自身も深刻に受け止めてはいるのですが、たぶんその素行の本質は、「なおらない」と、僕なりに理解しておりました。つまり、そのことに関して何かを進言してみても、同一の波長では理解できないのではないかと。

今回は商工会に『訂正記事として掲載元を書くベシ』と申し込めばおおやけ側からの立場で手痛い目に遭ってちょっとは影響があるかと思いました｡

正直者が生きやすい世の中にならないのは､彼のような人がいるからだと思っていて､誰もかもが見て見ぬ振りをするからではないかと感じます｡ときには痛い目に遭わないと迷惑を受けるのは正直者ではないでしょうか ?

>必ずそのしっぺ返しが、彼に身の上に起きるはずであり、世の中そんなに甘くないと思います

といいながらも､しっぺ返しをくったということはあまり聞きません｡それを許す素地が世の中にあるのかも知れません｡しかし､それがレベルを落とすことであり､つまらないことであるということであれば無視することにします｡また､そういうヤツに限って『さかうらみ』ってのもありますし･･･｡