世の中にもの申す 16 |
新聞記事から-3
1981年くらいだからもう20年近く前のことですが、私が設計事務所に就職した頃のことです。石川県にある金沢市○化ホールという建物をある建築家が設計し、その施工中のこと。「設計では A種コンクリートブロックを使用すると書いてあるのに現場では C種のコンクリートブロックを使用している」という記事が石川県の地方新聞に載りました。これって建築を職業としている人なら変な記事だとすぐに気付くはずです。 A種コンクリートブロックの強度は 40kg/m2。 C種コンクリートブロックは80kg/m2であり、A種の 2倍の強度を持っています。その何日か後にコンクリートブロックがJIS品では無いということがわかって、その点では確かに設計を満足していなかったようです。しかし、その発端は A種と C種の違いからスタートしました。専門家以外の素人にとっては Cより Aの方が強そうな印象を受けます。新聞記者はその印象だけで調べもせずに記事にしたのでしょう。しかし、そんなこと新聞記者が気付きますか普通 ?。誰かが新聞社にリークしたのは明らかです。それも専門家ではない人が・・・。ある人を陥れようと考えている無知な人が、無知な新聞記者に、「この現場でこんなことしてまっせ」と焚き付けたのでしょうか ?。多分この記事で被害をこうむるのは下請けである「コンクリートブロックの施工会社」でしょう。専門家ではなく図面を見ることのできる立場にあってブロック屋さんの敵って誰なんでしょうね。たまたま、この場合は JIS品ではなかったのですが、ブロックには A種や B・C種を表す記号がスタンプされています。工事監理をしっかりしていれば、それに気付くはずなのですが、監理者(役所+設計事務所)の責任には触れられていなかったと思います。 ある特定の人を陥れようとするのは簡単なんだなぁと、思ったのですが、今でもこの件は釈然としなくて頭の隅に残っています。一度書かれるとその記事が間違っていようと、取り返しのつかないことになります。申し訳程度に小さく書かれた訂正記事を読む人は殆どいませんから・・・。 以前、ある町役場発注の工事で、使用する木のランクを「小節程度」と設計図に書いたところ、議会で「小節なんてなんだぁ ? 一等を使え一等を・・・」と問題になりました。これを問題にした議員さんは、「小節」より「一等」の方がランクが上だと思っていたのでしょう。まぁ、一等賞というくらいだから・・・。でも、木の材質は「かけっこ」じゃないんだから・・・。文句を言うときには調べてから言って欲しいと思いませんか ? 多分その議員さんの家は下地材が「無節」で見え掛かりの仕上材が「一等」でできている素晴らしい住宅なんでしょうね。材料というものは適材適所といって、下地材には下地材の、仕上材には仕上材のランクに応じたものを、我々は選んで設計しているのです。知らないのに知ったかぶりをするのは止めて貰えませんか ?特に新聞を含めたマスコミにそれが多いように思えます。何か問題がおこるとすぐにどっかの大学の教授を連れてきてコメントを貰っていますが、訳わからん事を言っている人が多いぞ !!! しっかりとした人を選んで下さい。 |
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