小さい施設ですが、この建築は私の好みです。現場のときからちょくちょく、そ〜っと観に行っていました。完成してからも
5回は行っているでしょう。六角形のトップライトがあるのですが、ペアガラス+合わせガラス(強化と網入だったと思う)になっていて完璧な構成ですね。北陸に設計してヒートブリッジをおこしたりして結露がひどい「いんちき建築家」の多い中、流石、磯崎氏です。全体の仕上のレベルをあげてしまい、性能を犠牲にしている建築家が多い中、バランスのとれた金額配分をした上で、性能にきちんとお金をつぎ込んでいるというやりかたは見習わなくてはなりません。
T型の PC 梁を並べ橋のようにスラブを形づくっています。ただ、ケラバ部の防水はどうなっているのかが解りませんでした。
一番気持ちいいのはカフェでしょう。ガラス張りで片方を観ると木場潟が望め、振り返れば展示室との間にグリーンランドから持ってきた岩で荒涼とした空間が望めます。その岩の間から立ちのぼりゆらゆらした白い「霧」が観え、展示室のミラーガラスにその「霧」虚像が映り、また、「霧」の影も映り・・・「霧」は風に揺られてゆらりゆらりと・・・ぼ〜っと観ていると時間の流れを感じることができます。
建築というのは地面にどしっと根をはやしたもので、動きなどは感じることができない物ですが、このカフェに座っていると、時間や空気の流れを観ることができます。だから、僕はこの建築が好きなのです。このカフェは科学館とは別に入ることができますから、お茶を飲むだけでも一度訪れていただきたいと思います。 |