観た建築の感想 index

中谷宇吉郎 雪の科学館  磯崎新アトリエ 大成・山本他JV 石川県加賀市塩津町イ106 1994/06竣工
SK1995/03/P143・NA1996/0715/P151・DT124/P20
小さい施設ですが、この建築は私の好みです。現場のときからちょくちょく、そ〜っと観に行っていました。完成してからも 5回は行っているでしょう。六角形のトップライトがあるのですが、ペアガラス+合わせガラス(強化と網入だったと思う)になっていて完璧な構成ですね。北陸に設計してヒートブリッジをおこしたりして結露がひどい「いんちき建築家」の多い中、流石、磯崎氏です。全体の仕上のレベルをあげてしまい、性能を犠牲にしている建築家が多い中、バランスのとれた金額配分をした上で、性能にきちんとお金をつぎ込んでいるというやりかたは見習わなくてはなりません。

T型の PC 梁を並べ橋のようにスラブを形づくっています。ただ、ケラバ部の防水はどうなっているのかが解りませんでした。
一番気持ちいいのはカフェでしょう。ガラス張りで片方を観ると木場潟が望め、振り返れば展示室との間にグリーンランドから持ってきた岩で荒涼とした空間が望めます。その岩の間から立ちのぼりゆらゆらした白い「霧」が観え、展示室のミラーガラスにその「霧」虚像が映り、また、「霧」の影も映り・・・「霧」は風に揺られてゆらりゆらりと・・・ぼ〜っと観ていると時間の流れを感じることができます。
建築というのは地面にどしっと根をはやしたもので、動きなどは感じることができない物ですが、このカフェに座っていると、時間や空気の流れを観ることができます。だから、僕はこの建築が好きなのです。このカフェは科学館とは別に入ることができますから、お茶を飲むだけでも一度訪れていただきたいと思います。

マウンドされた公園からのアプローチ
ブリッジを渡って2階部分にエントランスがあります。事務室と展示室は一階に。六角形の棟の中にはエントランスホールと映写室があります。
六角形の横をすり抜けていくとカフェに。
スラブと壁の取り合い。
防水の立ち上げはどうなっているのだろう ?
ブリッジのアバット部分
外壁の木は化粧です。
PC製のT型梁の見上げ
エントランスホール
奥が映写室。下に降りると展示室。高級な仕上ではありません。
グリーンランドから持ってきた岩。これはオープン前の写真なので「霧」は出ていません。グリーンランドは中谷宇吉郎が雪の結晶の研究をした場所なのです。
カフェ側から展示室方向を観る
カフェの外はすぐに木場潟
奥に見えるのが片山津温泉街
木場潟からカフェを振り返る

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