観た建築の感想 index

カルロ・スカルパ Carlo Scarpa
一番好きな建築家の一人です。
日本では若林広幸氏がスカルパの影響をすごく受けているのではないでしょうか。勝手に僕がそう思っているだけですが。
でも、彼のはちょっとやりすぎのような・・・。対称性にもこだわりすぎているような感じがするし・・・
イタリア人と話したときに、僕はスカルパが好きだというと、彼はすごく喜んでいた。彼はタダオ・アンドーが好きだって。
無い物ねだりだね、お互い。  でも、ある意味スカルパのデザインもストイックではあると思う。
クェリーニ・スタンパーリア財団  Querini Stampalia Foundation 1961-1963
イタリア ヴェネチア  Venice, Italy
細い4メートルくらいの運河にかかる細い橋を渡ってこの建物にアプローチします。その橋からデザインが始まります。
木に真鍮を象嵌したような例のデザインの手摺が付いています。川を渡ってアプローチなんて、やっぱりベヴェネチアだね。
ここは展示館になっているので、結構好き放題見ることができます。
後ろ庭に浅い池(当然スカルパのデザイン)があるのですが、水があまりにも透明なため、池に見えないのです。
見学している若い男の人が、水など無いものだと思いこんでいたらしく、片足を突っ込んでしまい、照れくさそうに笑っていました。(笑ってごまかすのは万国共通ってこと ?)大理石でできた、水盤のデザインも見逃せません。
内部の船着き場には運河の水がひたひたと入って、ベネティアならではでしょうか。
この建物もディテール盛りだくさんですが、大理石のドアと。階段のディテールを・・・いやいややはり建物全部見ちゃいましょう。
ヴェネチアには、他にも幾つかあります。サン・セバスチアーノ修道院とか・・・歩き回ればスカルパのはすぐ分かるから。
オリベッティ・ショールーム Olivetti Showroom 1957-1958
イタリア ヴェネチア  Venice, Italy
サン・マルコ広場に面してあるので、ヴェネチアに行けば必ず見られる。
・・・と言いたいが・・・ヴェネチアに2度行っているが、見てない。一度目は冬で多分定休日だったのか 2日ともダメ。
2度目は、なんと夏でバカンスのシーズンで当分休み。仕方がないので、広場側と露路側の2つ面に顔をべったりくっつけて中を覗いた。中程の段板がちょっと長めになっている階段なんかは見えました。次回に乞うご期待 !
オリベッティのパソコンで色の綺麗なやつがあるのですが、それも見たい。
お客さんになれば、もう少し奥まで・・・といろいろ作戦を練る必要があります。
でも、取り合えず「見せて !」っていって観るんだけどね。ダメだったときのことを想定しておかないと。
サン・マルコ広場に面してちょっとかっこいいのが・・・。これ、誰の設計かなぁとその店の人に聞いたら「マウロ・ベッタ」「・・・もしかしてマリオ・ボッタ ?」 ウーム 信用できるか ???
ブリオンベガ墓地  S.Vito d'Altivole Brion Vega Cemetery 1969
サン・ヴィトー・ダルティヴォレ
イタリア トレビゾ  Italy, Treviso
ヴェネチアSL→Treviso→Castelfrancoバス→S.Vitoバス
CastelfrancoからS.Vitoへのバスは2時間に1本くらい。バスに乗ったら運転手に
S.Vitoでスカルパをみたいと言えば墓地の入り口で降ろしてくれる。
畑の中の並木道の突き当たりがブリオンベガ墓地
お墓参りをしている人もいるので、くれぐれも墓地だと言うことを忘れずに。
ブリオンベガ家の墓地の一角に日本の仙台で亡くなったスカルパ自身も埋葬されている。
スカルパのお墓は、息子のトビア・スカルパのデザイン

多分、いろいろな行き方があるんだろうけれど、たまたま日曜日で、交通の便が悪い日に当たり、たどり着くのにかなり苦労してしまった。バスを降りて、畑の中の並木道を歩いていくと、少しづつ墓地が見えてきて、わくわくしてしまう。その一角(といっても墓地の1/3くらい)がブリオンベガ家のお墓になっている。というか、そのL字型の部分を後から買ったらしいけど。まぁ、ここはすごい。いろんな建築の本にも載っているから、もう言うまでもない。
礼拝堂に置いてある来訪者用のノートには、日本人の有名な人の名前もかなりあった。
見なくてはいけないものが多すぎてパニックになりそうなので、お弁当でも持っていって、お昼しながら、全体の大局を眺めないと、ディテールをみるだけで終わってしまう。緑豊かなのどかなところだから、弁当を食べるのにもってこいです。スカルパのライフワークのようなものだから、ここを観ずして他を語るな ですね。帰りには、スカルパのお墓にお祈りをして・・・
帰りは道路に立ってバスを待つのですが、バス停がないので来たら手を振って停まって貰うしかありません。これを逃すとベネチアに帰れなくなるから必死です。こういうことやっていると「建築ツアー」は楽だろうなと思うのですが、どういう場所にその建築が建っていたかを肌で知るにはこういう時間の無駄も必要ではないかと思います。


バンカ・ポポラーレ・ディ・ヴェロナ Banco Popolare di Verona
ベローナ銀行
イタリア ベローナ  Italy Verona Piazza Nogara
内部の写真は銀行故に撮らせてくれない外部のスケッチで我慢するべきである。
今にして思えば、ちいさい口座でも作ればホールまでではなく(といっても文句を言われるまでは、うろついた)もう少し奥まで入れたかな・・・
この建物は、丸窓からの垂れ止めがうまいよね。よく丸窓から雨だれが、だらだら流れて汚い建物を見るけれどこういうのを観て、ちょっとは勉強しろってもんです。

ベローナのマクドナルドは、奥に中庭があり、落ち着きたければ、そこで食べるもよし表の通りに出ているテーブルで人の流れをを見ながら食べるもよし。


カステルベッキオ Museo di Castelvecchio 1957-1964
イタリア ベローナ  Italy Verona Corso Cavour
アディゲ川とそれに架かる橋のたもとにこの元お城があります。
ぐっとキャンチで飛び出した下向きのコの字型のコンクリートの上に乗ったカングランデ像で有名な美術館です。
スチール枠にコンクリートでできたそのキャンチの奥にはブリッジが架かり、手前にはカングランデ像を見るためのバルコニーが張り出しています。ここの空間は、我々には絶対に作り出すことができません。片側の壁は古い城壁です、時間が塗り込められています。
喩えて言うなら、法隆寺の一部を改修して美術館にするようなもので、我々にはそんなこと物理的にも精神的にもできないでしょう。
それが、スカルパの改修は、その時間の壁に融け込んでいる事がすごいと思う。
ピカピカの美術館にしてしまわないところがいいんだろうね。画や彫刻の展示台や受付カウンターなどもH鋼やスチールプレート・コンクリートを使ったいつものディテールだけどシックで洗練されていて、ケバク無い(こんな言葉今でも使うか ?)ここは、おすすめの一品でしょう。

ベローナは、バンカ・ポポラーレもあるし、ロミオとジュリエットの家もあるし、
夏は、アイーダのオペラが上演されるし・・・
駅を降りて右前方の太い道をてくてく歩いていくと、旧市街に入っていきます。旧市街に入る手前の左側にマクドナルドがあります。当然ここは旧市街でお泊まりでしょう。僕たちは一階がレストランになっているホテルに泊まりました。夏はオペラ目当ての観光客が多いけれど、この時期がこの街の旬の季節と言えるでしょう。


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