世の中にもの申す 14 index

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新聞記事から-1

新幹線のトンネルでコンクリートのコールドジョイントが原因で、でっかい塊が落っこちたことが問題になっています。で、新聞ではコールドジョイントは施工不良個所と言われていますが、そうなの ? 鉄筋コンクリート造でコールドジョイントの入らない建物はあります ? そうならないように努力はしますが、一日かかってコンクリート打ちをする限り、大きい構造物では確実にコールドジョイントは発生するはずです。当然その部分が「ジャンカ」になっていれば、施工不良個所ですが・・・。でも、新聞には技術者のコメントらしきものはあまり掲載されない。施工不良個所なら建設会社の名前を公表すればいいのに・・・っていったらぜーんぶの大手建設会社の名前が挙がっちゃうもんな。それはまずいか〜。(どうしてまずいんだろう ?)・・・で、7/17の新聞には「傷口を糸で縫い合わせるように金具を打って囲む縫合手術をする」って書いてあった。その理由として「検査で異常音のあった個所については今後十から二十年程度の安全を確保するために補強の必要があると判断した」とあるが、たかが10〜20年程度でいいの ? 土木のインフラは100年程度を想定して施工されるべきではないのでしょうか ? 20年というと問題の先送りなのか、それとも山陽新幹線は、もともと木造住宅程度の寿命を想定していたのか、それとも(ささやかれているように)手抜き工事のためあと20年程度で構造物の寿命が来るのか、ホントの所どうなんでしょうね。


福井の原発で一次冷却水が 51t漏れたってさ。
51tというと8帖間+6帖間を埋め尽くすほどの量の汚染された水です。蒸発装置で回収して、蒸留水と濃縮廃液に分離し、蒸留水は海へ放流するんだって(と言っていたのに次の日には冷却水として再利用すると言う。不安を増幅させないためだって、ヤバイからって正直に言えばいいのに・・・)。でも濃縮された廃液はどうするか書いてなかった(次の日にアスファルトで固めるって言ってた)。その後どうするかというと「ぬれ雑巾と乾いた雑巾で丁寧に拭き取る」だって ? ははは、笑っちゃいます。うちで「やかん」をひっくり返したときと同じじゃん ! 「最先端の技術の粋を集めた・・・」って言ってるくせに漏れた水は雑巾かい ? かっこわる〜ぅ。んで「各フロアは機器やパイプが複雑に入り組んでいるので機械は使えない。人手に勝るものはない」だって、あははは、笑いすぎてくるし〜ぃよー。エリート ?である原発責任者がこんなことまじめな顔して発表しているんでしょ ?

「ありえない事故です!」って毎度のごとく関係者は言ってるけど、「最先端の技術には自信があるから大丈夫です!」って言うけど、実際事故が起きているんだから、それを予想できていないことは、不完全な技術だし設計や施工が怪しいことを証明しています。
私達が、設計した建物で雨が漏ったらお客さんは離れていきますし、二度とそのお客さんは仕事をくれないでしょう。そういう点でいうと政府って結構おおらかなんですね。電力会社の営業ノウハウを教えて欲しいものです。ミスをしても仕事を貰える方法について多分すばらしいやり方があると考えられます。

事故が起きてからあわてて対策や点検をするようでは、確立された完全な技術ではないですよね。原発は安全だという嘘のPRにお金をつぎ込むより先に、技術者の意味のないエリート意識とプライドを取り除くことにお金を費やして欲しいと思います。そうして自分たちの技術力を正当に評価できるようになって欲しいものです。出来の悪い技術者ほど自分の能力を過信しますよね。僕もそうならないように気をつけよっと。

雑巾で拭いた水ってのはすごく汚染されているはずですが、その部屋の空気や水や雑巾やバケツはどこに行くのでしょう ? また、青森かい ?
汚染空気は大気中にこっそり出しちゃうんでしょうねぇ。事故の度「環境に影響はない」と発表されるけど、誰が、んなもん信用するかい!!


・・・で、そんな事故の改修や補修にかかった費用は誰が支払うんだ ?
また、国民から・・・か ? そうなるんだろうなぁ・・・。 はぁ〜〜っ。
2000/05/22 追加

ANさんという主婦の方から『ジャンカ』と『コールドジョイント』の意味が分からないという質問がありましたので、それに対する返信メールの一部を抜粋・修正しました。

ジャンカ
コンクリートの表面が『雷おこし』みたいに砂利が見える状態になっている部分をいいます。きちんとコンクリートが打ててない状態なので、それが中の方までだと心配なので強度試験をしたりして影響ないかを調べたりします。ひどい現場だと監理者が行く前にモルタルを塗ってしまって傷の深さが分からない状態になっていることがあります。

ですから、型枠を外しても補修は勝手にするなと先に伝えておかなくてはなりません。コンクリート打ちでは数ヶ所は必ずジャンカがでます。出るのはしょうがないとしても、その後どう処理するかで建物の性能が違ってくると思います。その傷の深さや出た部位によって補修方法はかわります。傷が深い場合はその近辺のコンクリートを斫(はつり)とって鉄筋を出し、綺麗に掃除(鉄筋に付いているコンクリートをワイヤブラシなどで磨いてとる)して、もう一度コンクリートを打ち直したりします。打ち直した部分と元のコンクリートは完全に溶け込んではいないので、内側に塗布防水(とふぼうすい/数ミリくらいの厚さの塗る防水方法)を施工したりします。傷の比較的浅いジャンカについては、その部分を斫とって樹脂モルタル(防水剤と接着剤の入ったモルタル)で埋めます。鉄筋部分まで傷が達しているかどうかが判断の分かれ目ですが、こういうものは教科書通りではなくて眼で見て判断しています。

コールドジョイント
新幹線のトンネルのコンクリートが落ちる事件がありましたが、その原因の一つがこれです。コンクリート打ちは一日に数百立米を打つのですが、昼休みなどで途中とぎれたりすると、午前中に打った部分が固まりかけています。前に打った部分と後に打った部分をよく混ぜないと打ち継ぎ目がはっきり分かる状態になってしまうのです。夏場のコンクリート打ちや一日に打設する量が多い現場ではそうなる可能性がかなり高いので気を付けなければなりません。気を付けてもゼロにするのは不可能に近いと思います。

そのままにしておくと必ず水が滲入し、鉄筋をサビさせてしまい躯体性能ががくんと落ちてしまうので、『ジャンカ』も『コールドジョイント』も、できたあとどう処理するかが大切で、そのままにしておくのが問題だということです。それらが生じることが、手抜きではなくて処理を怠るのが手抜きだという意味で捉えるのが正しいと思っています。


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