建築設計事務所の仕事 9 work index

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ローコストについて

価格が安いって意味です。
でも、同じ金額でも内容は違うはず。

a.仕様を落とす
例えば木材の樹種を落とすことや等級を下げることが考えられる。檜やヒバではなく、外国産の安い樹種にする・・・とか、同じヒバでも青森ヒバより米ヒバが安いし、無節ではなく上小や1等材を使用することも安くあげる手となる。

土台は檜・ヒバ系でないと防蟻処理が必要になる。(一般的に防蟻能力のない材料を使い、薬品で防蟻効果を得る方が多く採用されているということは、明らかにそちらの方が安価であるはず。しかし、薬品処理することは健康に問題がでる可能性がゼロだとは云えないので性能を落とすものだと私は思っている)

デザインや見栄えの差だけなら我慢できるが、性能が落ちたり健康に害のあるやりかたは、ローコストの手法として私はやりたくない。建て主がそれを納得しているのならいいのだが・・・。

b.値引き
大量発注や材料メーカーと施工会社の力関係で値引きされた価格で手に入れる。「a」と違って性能は落ちない。しかし、値引率が建て主に知らされることは無い。大量発注によって浮いた分が施工者の儲けとして搾取され、現実には「a」として仕様を落として処理される場合もあるだろう。

c.手間のかからない工夫
現在では建築する場合、材料代よりも人件費の占める割合が多いことから、手間のかからない工法にする。現在行われている一般的なやり方からの工夫が必要で、実験や冒険が必要となる。だって、他にないことをやるんだから。

住宅メーカーが採用している工場生産のプレファブリケーションで、現場施工の手間を最小限に押さえるやり方もこの中に含まれる。

d.数量を減らす
材料などの数量を減らす。平面計画で壁の量を減らしたり、外形をシンプルにすることも有効である。水廻りをまとめたり材料を統一することも効果があるはず。吹抜が多かったり、ちまちまと部屋を仕切らないほうが、コストは落ちる。これはデザインが制限されるかもしれないので建て主の理解が必要となる。

e.発注形態の工夫
発注方法を変える。元請の下に各種工事の下請けが工事を行うのが一般的であるが、それぞれの職種と契約すれば元請がもっていく経費分が浮く。しかし、それぞれの職種との打合せ手間や責任区分が難しくなる。何か問題が起きたとき一括発注だと窓口は一つで、その施工者と交渉すればいいのだが、分離発注の場合関係職種を呼んで誰の責任かを明確にしないと解決しにくくなる恐れがある。

人はローコストと何気なく言葉にするが、上に書いたように内容に差が存在すると理解して話しているのか、私には甚だ疑問が残る。「a」の様に仕様を落として安価に仕上がったモノは当然の結果であり、それをうたい文句にする事自体筋が違うように思う。

私は設計者として努力するのは、「c」のやり方を工夫してみることではないのかと考えている。雑誌などで、現実にはローコストではないが、可能性を感じる工夫を見ると私は嬉しくなるが、一般の方は単純に工事金額だけを見て判断するのでしょうね。


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