予算超過 index

戻る
『そういう要望は予算的に無理ですよ』と言っても、『とりあえずそれで図面を描いておいてよ』と言い返されることが多い。『見積をとってから仕様を変えればいいや』という意識からでる言葉でしょう。しかし、『仕様を変える』には、設計図を全面に渡って修正する必要がでるのだが、その作業は当然すべきことである・・・との意識にはついていけない。後で修正することがわかっていながら、図面を描かなければならないという状態は、精神的に奴隷状態である。

『とりあえず描いておくなら地盤調査の方が先でしょう !』 と言うのだが、大抵は目に見える部分だけの要望をかなえたいようで・・・で、結局、予算オーバー。『何故、予算を言ってあるのにこういうことになるわけ ? 専門家でしょう ! 』とお叱りの言葉を浴びながら、黙々と見積書をひっくり返しながら、予算に合わせる努力をし、図面を修正する。


日経アーキテクチュア 2000/12/11/050 より転載

設計を完了したが、工事見積額が当初の工事予算5000万円を上回り、8000万円になった。建築主は、予算を大幅に超過していると主張し、設計報酬の支払いを拒んだうえに、工事の予算超過を理由に建築を中止した。このような場合、設計報酬は請求できるか。

工事予算額が予算を超過していたとしても、設計者は報酬を請求できるただし、予算超過の場合、請求できる報酬額は予算額を基準として算出した額に限られることがある。

裁判例では、報酬の算出方法について合意がない場合でも、工事費に所定の料率を乗じるという方法を採用している。質問に則して言えば、工事見積額の8000万円ではなく、建築主の予算である5000万円に所定の料率を乗じる方法である。また、建築主が建築を中止したとしても、そのこと自体は報酬請求権の発生を妨げない。設計者の義務は、建築を完成させることではないからだ。

最も大切なことは、設計報酬について事前にきちんと合意しておくことである。昨今の厳しい経済事情においては、予算について双方が慎重に対処する必要がある。予算は将来、変動し得るものであって、その場合も報酬は発生することを建築主に説明しておくことが望ましい。


日経アーキテクチュアの この号では『こんな建築主に出会ったらどう対処すればよいのか』などの判例や建築訴訟の実体が紹介されている。内容については、日経アーキテクチャを読んで下さい。設計者はほとんどのかたが購読しています。建築主の方は設計者に聞いて下さい。

監理者の名義貸しを強要されたら
地盤補強を拒絶されたら
健康住宅を頼まれたら
夫と妻のどちらに従うべきか
「住宅だから」は理由にならない。ずさんな基礎は瑕疵→基礎の補修費用として1020万円
3階建て住宅 耐火性能が建築基準法を下回れば「資産的価値はない」と断定→1635万円
工事監理者の名義貸しはそもそも許されない→2679万円


戻る